システムの肝となるデータベース設計は、
システムの実装段階ではこれをもとにデータ定義言語(DDL : Data Definition Language)を作ります。
データベース設計はExcelなどで作り、
DDLはこれをもとにテキストファイルで作るわけですが、気をつけて行わないと、
資料としてのデータベース設計と、実装としてのデータベースに
違いがでてしまう、ということがあります。
このようなことを可能な限り防ぐために、どうしたらよいのか
いろいろと試行錯誤してきたのですが、
いったん解決の目処をつけましたので、まとめたいと思います。
DDLはおおむね、下記のような形でデータベースを定義します。
(以下の例はMySQLの場合)
[sql]
CREATE TABLE `users` (
`id` int not null,
`user_name` varchar(64),
`user_mailaddress` varchar(255),
`password` varchar(128),
PRIMARY KEY (id ASC)
);
[/sql]
仮に、あとから住所情報を登録するための項目が必要になった場合は
下記のようにして項目を追加できます。
[sql]
ALTER TABLE `users`
ADD COLUMN `address` varchar(255) AFTER `user_mailaddress`;
[/sql]
これで住所用の項目(address)を、メールアドレス用項目(user_mailaddress)の
後ろに追加することができました。
プロジェクト管理の問題でもあるのですが、
開発者が「設計書(資料)の更新は後回しで、先にDDLを作ろう」と考えてしまった場合、
資料が更新されずにどんどんと古い情報になってしまいがちです。
開発プロジェクトが落ち着いているときは、資料をつくり、レビューして
これをもとにDDLを作っていたとしても、
忙しくなってくると「資料は後回し!」になってしまうのは
(褒められたことではありませんが)かなりよく見受けられます。
どうせ「資料は後回し!」なのであれば、
実装をもとにあとで資料を一挙に作ればよいのでは、というアプローチ(ツール)があります。
ツールは、本番環境のデータベースに接続し、構造を解析し、Excelなどで設計書(らしきもの)を自動作成します。
そうすれば実装と資料とに差異はでません。
しかし、それなら「なんのための設計書(資料)か?」という気がします。
設計はあくまで設計で、実装の前に行うべきものであり
実装方針に間違いがないかレビューするためのものでもあります。
実装情報を後追いで確認するためのものではないはずです。
一方、本来の手順どおりに、設計書をもとにDDLを作成する、
というアプローチ(ツール)も存在しています。
設計書を読み込んでDDLを自動生成したり、
直接データベースシステムにテーブルそのものを作ったりします。
これなら問題ないはずなのですが、
実際に使ってみると、問題ないのはリリース前の開発段階だけでした。
というのは、このアプローチによるツールは、調べた限り、
あくまで「作成」用のDDLしか作らず(冒頭の例でいえばCREATE文)
差分を作るためのDDL(冒頭のALTER文)は作れないのです。
一度リリースしてしまったシステムで、
たとえばあとから「ユーザーの住所を追加したいね」となったら
作成するべきDDLは、差分のみ(ALTER)です。
十数年、システム業界に携わってきて、
Oracleから日立HiRDB、MySQLなどといくつかのデータベースシステムを使ってきましたが、
根本的な問題意識はずっと変わりませんでした。
つまり、いったんリリースしたシステムの機能追加のときに必要なのは
CREATE文ではなくALTER文であるにもかかわらず、
少なくとも私が見つけたツール類でそれを実現することはできないのでした。
そして結局、データベース設計書をみながら手作業でALTER文を作る、
ということを繰り返してきました。
実は、私自身もこれまで(2)に類するツールを、何度かExcelマクロで作成してきたのです。
しかし「差分(ALTER文)を自動生成する」というところにまでたどりついていませんでした。
データベース設計にだけ目を向ければ、「新たに追加した項目の追加日」を設計書に明記しさえすれば、
この日付をもとに「新しいテーブルなのか」「新しい項目なのか」を自動判断し、
CREATE文またはALTER文を作ることができます。
そういう考えで作ったのがこれです。
Excel DB設計 DDL 自動生成ツール
DB設計ツール.zip
設計書(例:DB論理設計20140601.xls)では、テーブルごと、項目ごとに「追加日」を記入することができます。
リリース後に新たに追加する項目やテーブルには、「追加日」にその日を指定しておきます。
DDLを作成するときには、「DDL作成ツール.xls」を起動し、
「出力のベース日付」に「最後のリリース日」を指定して実行します。
すると、「出力のベース日付」以降に追加されたテーブル・項目用のDDL(CREATE文とALTER文)を
自動生成する仕組みです。
ただし、いくつかの前提があります。
技術者の方であれば、このファイルを解凍し、Excelファイルを開けば
どう使うのか、すぐにおわかりになるのではないでしょうか。
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